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2020.08.14 Fri

不登校は連携で対応。フレップの事例(前編)

東京都八王子市にあるフリースクール「昼間の塾フレップ」の代表、朴未来先生へのインタビュー。

心の一時避難所

小田:今回は東京都八王子市にてフリースクール「昼間の塾フレップ」の代表をされている朴未来先生にお話しを伺ってまいります。フレップは主に不登校の子どもたちが通うフリースクールと伺っています。朴さんは25歳のときにフレップを立ち上げられたということ、まずはその背景について教えてください。

朴先生:フレップの立ち上げ背景についてお話しするにあたっては、少し私自身の背景も一緒にお話しをさせてください。 私は、大学2年生の最後にうつ病と診断され、治療に専念する目的で大学3年生のときに休学しました。うつ病発症の一番の原因は、友人の突然の自殺でした。小さな頃からよく知っていた分、自己肯定感が高くないことは感じており、非行等の問題行動は無かったのですが、いじめられていた経緯もありました。そのような状況から自己肯定感や自尊心が育めない環境に身を置き続けた先にこんなに恐ろしい結果があることを重く受け止め、これがフレップ立ち上げに至る最初のきっかけになりました。

小田:私も高校3年生の時に近しい友人を亡くしました。大学生の頃にも、後輩を亡くしました。それぞれの時のもやもやが、多かれ少なかれ、これからを生きる子どもたちへの教育熱に変換されている点では、朴先生と似たものを感じます。

朴先生:フレップでは「子どものSOSをすくいあげる」をメインミッションとしています。ここでの「すくう」は「救う」ではなく、「拾い上げる」というニュアンスで、子どもの声を聞くとも言えます。年齢が低くなればなるほど、家庭と学校が子どもたちの世界の大半を占めると感じていますが、さらに経済的に豊かでない家庭ほど習いごとができないなど、家庭と学校しか居場所がない傾向があると思います。その場合に、家庭と学校が子どものSOSを受け取ることのできるような環境でなかったら、子どもはそのSOSを内包したまま大人になり、それが「ゆがみ」をもたらすと考えています。

小田:フレップはSOSを発している子ども、もしくはそれに気づいた保護者や学校の先生からの連絡を受け、子どもにとっての心の一時避難所となりつつ、具体的な対策を検討・実施する場所ということですね。子どもの未来を支えるとても大切な取り組みと感じます。

朴先生:2016年に教育機会確保法が成立してから、日本の社会全体としては不登校への注目が集まっています。教育機会確保法では、不登校の子どもにも教育の機会を均等に与えるために、外部機関との連携の視点も言われています。フレップのような連携機関の存在を学校の先生にも認知いただき、いざという時の躊躇ない活用をお願いしたいです。

小田:勤務校の近くに相談できるような連携機関があるかどうか、調べておくのが良さそうです。

子どもにとっての最善を叶えるための学校との様々な連携。

小田:学校との連携について、これまでの朴先生のご経験から具体例を教えてください。

朴先生:まずはフレップへの参加が学校の出席日数としてカウントされていることが挙げられます。また、学期末やテスト明けには子どもの近況について、私(フレップ)や、スクールカウンセラー、担任の先生と情報共有を行ったりもします。子どもにとってフレップでの活動と学校での活動が連続的であるように、連携を取りながら学びを支えています。

小田:とても恵まれた環境が実現できているように思います。

朴先生:その他、申し上げにくいことではありますが、担任の先生と子どもがうまくいっていない場合も少なくなく、その場合は対応が少し繊細になります。

小田:文科省が2019年10月に発表した「平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」でも、担任の先生との関係をめぐるものが含まれています。その他、友人関係等も考えると、学校への復帰以外の選択肢も否定せずに考えていく必要性が浮かび上がります。

朴先生:その点については、子どもとの対話によって「学校に合っている子かどうか」を見極めることが大切だと思います。担任の先生との問題に限るならば、転校してうまくいった事例もあります。片や、学校という制度自体に不適応を感じていたり、集団生活に課題を感じている一方で家庭であれば学習ができたり、少人数でパフォーマンスが発揮できる子には学校への復帰を視野に入れないこともあります。

小田:目の前の子どもにとっての最善を学校と一緒に向き合い、例えその結末が学校への復帰でないとしても環境を共に整えていくことの重要性を感じます。

コロナで課題になった子どもとの直接のコミュニケーション

小田:休校期間中に一部の学校で実施されたオンライン授業について、ニュースでは、不登校の子どもたちも授業に参加できたなどの前向きな報告がなされていたのが目についた一方で、学校が再開したことによって、そのような子たちが今をどのように過ごしているのか気になります。フレップに通う子どもたちは、学校再開をどのように捉えていたのでしょうか。

朴先生:子どもたちとの対話から見えてきた学校の実態としては、授業の進度があがったことが大変だと話してくれた子や、進級に伴うクラス替えの結果、クラスの環境についていくことに困難があると話してくれた子、コロナの影響でなるべくおしゃべりを控えるように教員が指示する一方でクラス内での交友は深めようという言葉に混乱している子など…、ネガティブな意見が多かったです。

小田:コロナ禍で特に印象的だったことはなにかありますか。

朴先生:「子どもが家にいる状況で、孤立しないためにはどうすれば良いですか?」というお問い合わせを複数お寄せいただいたのが印象的でした。フレップに通っている子どもたちは、私のようなスタッフも含めたグループライン(LINE)があるのですが、そこで「おはよう」という声掛けを行ったり、ゲームもしたりしていました。ただ、学校の先生の場合、子どもと直接連絡を取るためには家の電話に連絡するか、学校に来てもらうことが中心だと聞いています。その点、子どもと連絡を取るための柔軟さについては少し考えさせられました。

小田:朴先生のお話しを発展的に捉えると、学校で出来ること、使えるシステムと、フレップのような学校外だからこそできること、使えるシステムを互いに利用しあいながら、子どもの今を保証していく(孤立させない)最適解を共に探していくことの重要性を提示されていると個人的には認識しています。つまりは学校がLINEのようなアプリの使用を受け入れていくということが論点ではないと思います。学校にはできないことがあるからこそ、学校外の機関の価値が浮き立ち、その逆もしかりです。学校でもフリースクールでもない私からみると、学校やフリースクールのそれぞれの機能拡充よりも、それぞれが今できること、使えるシステムを前提として、「A+B=C」というような、連携から第三の在り方が浮かんでくることに期待したいです。

誰一人取り残さない地域システムの実現のために

小田:フレップの取り組みが始まり6年が経つと思います。子どもたちや保護者の相談が特に多くなる時期というのはあるのでしょうか。

朴先生:家や学校で問題が明るみになるのは長期休み明けが一般的なのですが、フレップに相談が来るのはだいたいその2~3週間後になります。そのため、GW明けの5月末、夏休み明けの9月末が多くなる傾向があります。

小田:子どもたちは4月に学校が始まってから5月末に至るまで、どのように過ごしていると考えられるのでしょうか。

朴先生:4月は新学期のため、希望をもちつつ学校に行くことが多いと感じているのですが、そこから少しずつ「希望」が「頑張る」に変わりつつGWまで過ごし、GWで力尽きて、GW明けから学校に行きづらくなるという流れだと思われます。その後は、少しじたばたする時期があり、どこかであきらめがついて、フリースクールを探し出す、という印象です。

小田:非常に分かりやすいです。9月も同じような流れをたどっているのでしょうね。例えば、今回のコロナによる休校期間も1つの長期休暇と捉えられるのではないかと感じているのですが、学校再開から2~3週間後、やはり問い合わせはあったのでしょうか。

朴先生:ありました。7月もありましたし、8月に入ってすぐも複数件の問い合わせがありました。

小田:問い合わせの多さは気になる一方で、個人的には、「フレップに問い合わせをする」という判断ができていることは、子どもが発したエマージェンシーをキャッチし、環境改善のために対策がとれているという意味でポジティブにも感じます。

朴先生:それはその通りです。問い合わせに対して常にオープンな姿勢に加えて、さらに私が気を配るべきは、フリースクールを探そうという選択肢のない保護者の子どもです。だからこそ、学校の先生にもフリースクールと連携するという可能性をどこかにもっておいていただけると、本当の意味で誰一人取り残さない地域システムの実現に近づけると感じています。

(後編へ続く…)

話し手

朴未来先生 … フリースクール「昼間の塾フレップ」(東京都八王子市)代表。

聞き手/ライター

小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。

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