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2020.08.21 Fri

不登校を先生も抱え込まない。(後編)

東京都八王子市にあるフリースクール「昼間の塾フレップ」の代表、朴未来先生へのインタビュー。

フレップ(フリースクール)で育む「生き抜く力」

小田:今回は、前回に引き続き「昼間の塾フレップ」の代表、朴未来先生とのインタビューをお届けします。前回の記事では、学校とフリースクールのような学校外機関とが連携して不登校に対応していくことの大切さをお話しいただきました。ただ、実際に連携を行うためには、例えばフレップのようなフリースクールではどのような子どもたちの未来を見ているのか、というヴィジョンを共有していくことも重要です。そこでまずは、フレップで育みたい子どもたちの生き抜く力について教えてください。

朴先生:フレップは6年目を迎え、開始時に通ってくれていた子はもう18歳になりました。そのような中でいま考えているのは、学校でなされているような教科学習のサポートを行いつつも、社会のリアルに寄り添ったモノサシの多さを大切に、子どもたちの生き抜く力へつなげていきたいということです。
 例えば、パソコンの組み立てが上手な子や、ハンドメイドが上手な子、誰かの面倒を見るのが得意な子など、フレップには多様な子どもたちがいます。彼らの「上手」や「得意」は社会では前向きに評価されうる価値(モノサシ)だと感じています。そうした子どもたちの個性に立脚した生き抜く力の育みを行いたいと考えています。

小田:「生き抜く力」の中身について、もう少し具体的に知りたいです。

朴先生:全ての活動の根底を支える「自己肯定感」、「自尊心」の育み、”この先自分は何になっていきたいのか”という「ヴィジョンの醸成」、そして「プレゼン力(自分を社会に対して売り込む力)」をイメージしています。とりわけプレゼン力については、コミュニケーションが苦手な子や、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン/非常に繊細な人)の子もいるため、それぞれの状態にあった自分の売り込み方を見つけることが大切だと感じています。フレップではこれらを総合した「生き抜く力」の育みを支えながら、社会に埋もれるのではなく、調和しながら活躍できる人材の育成を重視しています。

小田:これからは社会全体が今までにないスピードで変化していくことも言われています。その意味では、自分ができること、やりたいことを前向きに、長期的に更新し続けられる素地を養い、社会に受け入れてもらうのではなく、主体的に社会にアプローチしていくことが求められているのだと思います。
 子どもたちとの活動については、一人ひとりの心的負荷に配慮をしながら、教育的にも有意義なものを採用する必要があると感じます。具体的には子どもたちとどのような活動をされているのでしょうか。

朴先生:今はコロナの影響でオンラインでの活動になっていますが、その中でも例えばオンラインラジオ体操や、オンライン勉強会をしています。オンラインラジオ体操は、昼夜逆転を避け生活リズムを整えること、オンライン勉強会は、毎日机に向かって勉強をするという習慣づけを主たる目的として行っています。オンライン勉強会は子どもたちとのグループライン(LINE)で実施しているのですが、先生は一定時間、グループラインでの電話をつなぎっぱなしにしておき、子どもたちがいつでも参加できるように門戸を開いておくスタイルです。参加する子は無言で参加しても良いですし、質問があればいつでも発言できるようにしています。

小田:自分の心と相談しながら他者との関わりを少しずつ自分の中に位置づけていくための配慮があると感じます。

不登校のイメージを次のステップへ。

朴先生:不登校の子の多くは、社会の理不尽にさらされていたり、マイノリティとしての苦痛も味わっています。このような経験をしている子について、私は宝だと感じています。というのも、一般的には盲点となるところを見ることのできる視点が強制的に育っているともいえるからです。これからの日本を支えていく人材像を考えたとき、こういう視点はむしろ武器なのだと思います。

小田:一方で、不登校という道を選んだ子ども自身にも「不登校=ネガティブ」という自己評価がつきまとっている印象もあります。

朴先生:それはあると思います。武器ではなくハンディキャップと捉えてしまっている、これは非常にもったいないことです。私の考えとしては、最低限、自己肯定感と自尊心さえあれば、不登校になった時点で社会で生き抜く力はある程度ついていると思っています。自己肯定感と自尊心さえあれば、すでにもっているものを武器に変えることができるんだと思います。

小田:朴先生のお話しを伺いながら、「異才発掘プロジェクトROCKET」(東京大学先端科学技術研究センター 中邑研究室)や「変人類学研究所」(東京学芸大こども未来研究所)が頭に浮かびました。少なからず、不登校の子がもつ可能性に着目をする取り組みは日本で始動していることから、そろそろ不登校にまつわるイメージも次のステップに進むといいな、と思います。

メールフォームでも電話でも、全国どこからでもご相談ください。

小田:不登校の子については、学校の先生も悩まれていると思いますが、具体的にはどのようなルートで朴先生のもとへ相談が持ち込まれるのでしょうか。

朴先生:先生も戸惑いがあることは分かっているのですが、基本的には、保護者の方からフレップへ連絡をもらい、そこからフレップが学校へ連絡する、という流れです。その結果、先生も「実は、悩んでいたんです…」ということが明らかになることが多いです。

小田:先生も抱え込んでしまっているのですね。

朴先生:おそらく、先生にも相談先が無いのだと感じています。フレップでは、保護者・教員向けのシンポジウムの開催等も行っており、学校の先生とも交流が図れるような機会創出にも力を入れています。

小田:例えばの話しですが、もしこの記事をご覧くださっている全国各地の先生が、「ちょっと朴先生に相談してみたいな…」と思ってくださったらば、直接ご相談いただくことも可能なのでしょうか。

朴先生:メールフォームからでも電話でも、ぜひお気軽にご連絡ください。お問い合わせ先はHPをご覧ください

小田:心強いお言葉に感謝しております。今回のコロナ同様、不登校の対応についても、スピード感をもちつつ、正確な対応が重要と感じています。その実現のためにプロとの連携を視野にいれることで、学校の先生ご自身の心身の負荷軽減につながると思います。

全国の先生方へのメッセージ

小田:最後に、全国の先生方にメッセージがあればお願いします。

朴先生:「先生も人間。困ったらご相談ください。」ということでしょうか。一人で抱え込まないでほしいです。

小田:朴先生、大変お忙しい最中、長時間のインタビューにお力添えをいただきありがとうございました。

話し手

朴未来先生 … フリースクール「昼間の塾フレップ」(東京都八王子市)代表。

聞き手/ライター

小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。

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