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2020.09.04 Fri

中堅研修での気づき。私らしい働き方。

東京都の中学校にて1年生の担任をされている中堅先生(S先生/国語科)へのインタビュー。

中堅研修はジブラルタに。

小田:今日は東京都の中学校にお勤めのS先生(国語科)にお話を伺ってまいります。早速ですが、S先生は今年で教員11年目ということで、中堅研修(東京都公立学校中堅教諭等資質向上研修)の一環として、2日間、ジブラルタ生命保険株式会社に行かれたとのこと。まずはジブラルタさんを選ばれた理由を教えてもらえますか。

S先生:中堅研修で訪問する企業は自分たちで探さなければいけなかったのですが、知り合い等のツテ程度しかお願いできる当てがなく、かつコロナの影響で受け入れが難しいというお返事をいただいた先生もいたようで、研修を受け入れていただく企業探しは難航しました。私は、たまたま知人にジブラルタさんで働いている方がいたということ、教員ではない世界、特に企業を見てみたかったこと、個人的に保険というものに興味があったことからジブラルタさんに決めました。

小田:ジブラルタさんでの研修はいかがでしたか。

S先生:とても楽しかったです。保険のことをこれまで知らずにきたこともあり、まずは保険の勉強になりました。また、個人的には「組織」や「経営」に興味があったので、どういうシステムで企業が上手に回っているのかを見ることができたのは本当に勉強になりました。例えば、大きな組織における連絡の回り方やボトムアップでの意見がどのように実現していくのか、どのように会社の経営方針に沿った社員育成を行っていくのかなど、これらは学校でも変わらないと思っています。ジブラルタさんの社長の理念や、社員全員が同じ言葉を使いながら目標を掲げているという動きなどを伺えたことは、今でも残っています。

小田:POWER FOR TEACHERSはジブラルタさんとの協働だからこそ成り立っている取り組みで、実はこのプロジェクト誕生のきっかけをくださったのもジブラルタさんです。コロナ禍において全国の先生方のために何かできることはないか、そんな純粋な熱い想いがそのまま形になったようなプロジェクトです。

S先生:実は、このPOWER FOR TEACHERSのご担当をされている方と同じ部屋で研修を受けさせていただいたのですが、部屋には学校や教育に関する本、先生のための雑誌やパンフレットばかりが並んでいました。本当に教育に関わってくださっているんだなと思いましたし、1つの企業の中にこんなにも学校を想ってくれている場所があることに嬉しい気持ちでした。

小田:研修を終えられての気づきや感覚の変化等はおありだったのでしょうか。

S先生:修後は報告書の提出が義務付けられているのですが、そこには、私の勤めている学校は規模が大きな学校だったので、組織の大きな学校であればあるほど柱というものが重要になってくると思うということと、そういう柱があるのであれば私たち教員はそれに向かって努めますということを記しました。それを見た副校長が「良いこと書くね~」なんて声をかけてもくれました。

小田:最初は受け入れてくださる企業探しが大変だったとのことでしたが、貴重な気づきへつながったこと、本当に素敵な時間だったと拝察しています。

S先生:ジブラルタさんでお勤めの私の知人だけでなく、研修時に私を担当くださった方もとてもキラキラ働いていたのが印象的でした。会社の方針や理念が可視化されているからこそ、そのように働けるんだとも思いましたし、学校もそうであってほしいと思いました。

今しか出てこない言葉を残す国語科の授業

小田:S先生は学校では国語の授業をご担当されているとのこと。コロナ禍だからこその授業実践例があれば教えてください。

S先生:私は中1、中2を教えているのですが、コロナをテーマとした川柳や短歌を作らせました。この活動の目的としては、今、10代の彼らからしか出てこない言葉を残したかったというのがあります。そうすると、「友達に会えない」とか「タブレットは見飽きた」などの言葉が出てきたので、新しい感覚を得たり、体験をしていたんだなということを作品越しに感じました。生徒の作品は飾ったりして、対話のきっかけにもしました。

小田:国語科の授業ならではの活動の自粛や、なにか活動制限を乗り越える工夫等もされているのでしょうか。

S先生:個人的には読む活動は避けるようになりましたが、私の学校では3年前から生徒にもパソコンが配布されているため、デジタル教科書に読んでもらうようにしました。また、話し合いの活動も制限がかかっていることから、「コラボノート」というアプリケーションを使用することで、生徒同士が意見交換できるような環境を確保しています。

小田:いま、デジタル教科書のお話しがあったことから、少し脱線になるかもしれませんが、初歩的なご質問をさせてください。大学にて国語科教育を学ばれる際には紙の教科書を使用することを前提とした授業展開を研究されていたと拝察する一方で、学校現場に出てからデジタル教科書の活用可能性等を一から学ばれたと感じています。紙の教科書とデジタル教科書、その利便性の違いについて教えてください。

S先生:デジタル教科書の場合は、教科書をそのまま画面に写すことができるため、今どこを読んでいるのか、生徒に視覚的に訴えることができますし、私の頭の中を生徒と共有することができます。また、教科書を読んでいると、読んでいる音声に反応して勝手に教科書のページが進んでくれるので、これも便利ですし、その他にも、作品にまつわる作者からのメッセージ等の資料も含まれています。

小田:新しい時代になっているんだな、と改めて感じますし、今はもっと進んだテクノロジーと教育の融合が急速に求められていること、現場の先生方の負担は計り知れません。

S先生:こんなはずじゃなかった、なんて思ったりもします(笑)。なんでこんなにパソコンの勉強ばかりしているんだろう…と。

子どもに寄り添った学級通信

小田:S先生は1年生の担任もされているとのこと。今回のコロナ禍においては、子どもと会えない、保護者とも会えないという期間が長かったことから、担任と生徒、あわよくば保護者の方がつながる1つのきっかけとして「学級通信」は活用可能性があったようにも思います。意識的な活用はなされたのでしょうか。

S先生:学級通信は学校として発行しなければならないものではないので、例年、どうしても伝えたいことがある場合や、記録として残したいことがある場合に発行するようにしています。
 今年度に関しては、子どもに会えるまでは出せませんでした。子どもたちに対して「~してください」等の要望があったとしても、子どもたちからしたら、会ったこともない人からそんなことを言われても、本当にただの紙にしか見えないのではないかと思いました。そのため今年度の学級通信第一号は、分散登校が終わり、1つの教室に子どもたち全員がそろった日に発行しました。

小田:どのような内容だったのでしょうか。

S先生:「こういう1年にしてね」という私の想いを書いたものだったのですが、テーマは「知る」にしました。中1なので、勉強を通して「知る」、学校を「知る」、新しい友達を「知る」という、全てにおいて「知る」という内容でした。ちなみに『鬼滅の刃』から着想を得て「知の呼吸」という言葉を使いました。

小田:「知の呼吸」、とてもかっこいいですね。私は『鬼滅の刃』は不勉強なのですが、S先生は漫画をお読みになったのでしょうか。

S先生:読みましたね。子どもたちが好きなアニメ等も、会話についていける程度には勉強するようにしています。

S先生流、ストレスケア

小田:お話を伺いながら、S先生はとても明るく、前向きな先生であることを強く感じているのですが、今回のコロナでストレスがかかり、つらかったこともあったのでしょうか。

S先生:私は今年度異動して、勤務地が変わったので、環境の変化に対応しなければいけなかったことは大きかったですし、それに増してコロナの影響によってパソコンと向き合う時間が増えました。そしてなんといっても、「子どもに会えない」ということは大きなストレスでした。これまでは、子どもとわいわいおしゃべりをしながら毎日過ごすということをしてきたのですが、コロナによって、大人と一緒にパソコンを見ているという時間に過ごさなければいけなくなりました。

小田:今、意識的になされているストレスケアはおありなのでしょうか。

S先生:私の働き方としては、まず、時間を決めて働いています。教材研究など、どこまでもできてしまうのが教員という仕事なので、昔から時間は気にしていました。また、家には仕事は持ち帰りません。そのため、バッグはとても小さいです。

小田:バッグを小さくすれば仕事の持ち帰りようがないですから、とても良いアイデアですね(笑)

S先生:何にも持ち帰れません(笑)。その他は、大きなお風呂が好きなのでたまに銭湯に通ったり、美味しいものは毎日食べています。

小田:毎日、楽しそうですね。このS先生の笑い声溢れるインタビューをリアルに読者にお届けできないのが残念でなりません。

S先生:あとは、私は朝型なのですが、「夜の1時間の仕事は朝の5分」ということも思っています。夜は頭が疲れて、回転も悪いので、そういう状態でする仕事は、実は次の日の朝向き合うとすぐに終わってしまうと感じています。

小田:すぐにでも真似できそうなストレスケアを教えてくださったので、僕の生活にも取り入れてみたいと思います。いまの季節だと、夜、銭湯の帰り道も風が心地よいかもしれません。

全国の先生方へのメッセージ

小田:最後に、全国の先生方にメッセージがあればお願いします。

S先生:セオドア・ルーズベルトの言葉になりますが、「今いるところで、今持っているもので、あなたができることをやりなさい」というメッセージでもよろしいでしょうか。これだと命令形になってしまっていることが気になりますが、望むものはたくさんあるとしても、今近くにあるもので、自分が子どもにできる最大のものはなにか、ということを考えると仕事は楽しくなるのではないか、と思っています。

小田:S先生、大変お忙しい最中、インタビューにご協力をいただきありがとうございました。

話し手

S先生 … 東京都にて中学校教諭(国語科)。1年生の担任。

聞き手/ライター

小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。

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