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2020.10.02 Fri

先生や子どもたちがクリエイティブになれる!
教材づくりを助けるウェブアトリエ(後編)

埼玉県立特別支援学校さいたま桜高等学園にてお勤めの関口あさか先生へのインタビュー。

目指すは「お便り革命!」

小田:今回は、前回に引き続き、埼玉県の特別支援学校にお勤めの関口先生へお話を伺ってまいります。前編では、ICTが障害のある子どもの困難さを助けてくれる存在であることや、マイクロソフト認定教育イノベーターになられたことで拡がっていった全国の先生方とのつながり、そしてその結果生まれた「ICT活用実践集」についてお話しいただきました。
 後編は、私が関口先生のことを知るきっかけとなった「アトリエふにぽ」に関するお話しから始めさせてください。

関口先生:特別支援学校はお便りにかける時間がとても多いという特徴があります。そのため、子どもたちのニーズに合う絵を毎回探してお便りに添えようと思うと、まず探すのに時間がかかってしまい、そうしてようやく見つけたフリーのイラスト素材も先生の個性やオリジナリティを出すことが難しいことが多いと感じました。そういった背景から、私はもともと絵を描くのが好きだったので、お便りで使うための画像は自作し、また同じ学年を組んだ先生とも共有するようにしていました。

小田:僕はどちらかというと、普段は硬い文章を書くことが多いので、あまりイラストを含めたお便りは作成しないのですが、作成しなければいけないときは、拙くとも自分で書くようにしました。ご指摘の通り、フリーの画像でお気に入りに出会うのは難しいですし、自分で書く方が子どもたちの笑いも取れるので…(笑)

関口先生:そういった、オリジナリティを大切にしたい先生は全国にも多いと感じています。そこで、「こんなこともできるかも!」と自然に思えるような先生方のオリジナリティ(自分らしさ)やデザイン性が引き出せるような素材集を作りたいと思い「アトリエふにぽ」というWebアトリエが生まれることとなりました。

小田:僕は授業の資料を作り始めるとついつい深夜になってしまうのですが、こうした素材集は資料作りを前向きにしてくれるほか、時短にも大いに貢献してくれると感じます。

関口先生:さらに言えば、”デザイン”や”かわいさ”というものが苦手な先生もいらっしゃると思います。かっちりしたお便りも悪くないですが、子どもたちにはお便りを通して少しでも前向きな気持ちになってもらえたらいいなとも考えています。そのため、「アトリエふにぽ」の素材を使えば、誰でもかわいいお便りが作れるということも意識しました。

小田:若手の男性の先生にもきっと使い勝手の良い、知っていて損はないサイトだと思います。

関口先生:目指すは「お便り革命!」。実際のサイト立ち上げから運営については、複数人で分担して実施しているので、連携して、これからも継続的に素材の追加を行っていく予定です。

素材紹介 最も人気が高いのは…?

関口先生:実際にどのような素材があるか、紹介させてください。イラストは友人からの依頼を受けて書いたものもありますし、「のんびりかたちゃん」のように、私が子どもたちのために作ったキャラクターもあります。「のんびりかたちゃん」には、焦りがちな子や自信のない子に対して、「かたつむりのようにゆっくりと、でも着実に進んでいこうね」というメッセージを込めました。

小田:個人的には「ロボルくん」も好きです。

関口先生:背景が透明になっているので、どこにでもマッチするようになっています。研修会の資料の右下に1つ入れるだけで雰囲気が一気に柔らかくなります。
 「くれよんどうぶつえん」シリーズは多くの方に使っていただいている人気のシリーズです。ロボルくん同様、背景が透明になっているので、文字を重ねていただくとお話ししているような表現もできますし、1匹ずつの表情の違い、たくさんの動物たちを使い分けるなど、アイデアが拡がるヒントがあると思います。

小田:こちらは特にお便りに使いやすいと思いました。特別支援学校だけでなく、小学校や幼稚園でのお便りにも良いですね。

関口先生:これらのイラストを印刷して、切り取って、紙芝居のようなパネルシアターに活用いただいているというお話しも伺ったことがあります。
 実は、何万というダウンロード数があるシリーズは「吹き出し・枠素材」です。

小田:キャラクターではないこと、意外です。

関口先生:「アトリエふにぽ」として特にオススメしたいのも、実はこちらの「吹き出し・枠素材」になります。同じ文字でも、枠素材1つでおしゃれでかわいいものになることを目指しています。以下のように、『教育課程について』というとてもまじめなタイトルも、例えば枠素材とイラストを添えるだけで、かなり印象が変わるかと思います。

小田:「吹き出し・枠素材」だけでも200を超える素材があるとのこと。そのおかげで先生の仕事は文章をつくったり、どの素材を選んでどのように見せるかという、子どもの反応を常に意識してクリエイティブな作業に集中できそうですね。いろんなサイトを横断していた手間がなくなります。

関口先生:これを作った当時は、既に私用のUSBを学校にもっていくことができず、学校のパソコンからはクラウドに接続することもできませんでした。そこで、自分の描いた絵を自分のお便りで使うためにも、他の先生にご活用いただきやすくするためにも、オンライン上に画像を置いておき、その代わりにHPには広告等を一切載せないというフィルタリング対策等の工夫を凝らしました。
 また、特別支援学校に通っている子どもたちがどのような困難を抱えているかについて、実はあまり知られていない現状もあることから、「特別支援教育イラスト」というコーナーのイラストを一覧いただくと、特徴的な困難さの例や現場での支援への工夫も感じていただけるよう、細かな工夫も施しています。

デジタルパワポ絵本

小田:先ほどご紹介頂いた素材については、お便りとしての活用のみならず、教材としての活用可能性もあると感じています。

関口先生:子どもたちが自分で絵本やプレゼンを作るような活動の時に、素材もゼロから作ることは難しいため、このHPから素材を選んで「販売会用のポップを作ってみよう!」という活動は実践したことがあります。

小田:ICTが一人一台になる時代、学校のセキュリティを乗り越えてアクセスできるというのはやはり魅力ですね…。
 教材としての活用という意味では、マイクロソフト認定教育イノベーターである稲葉通太先生と共同制作をされた「デジタルパワポ絵本シリーズ」についても教えてもらいたいです。

関口先生:稲葉先生はPower Pointの教育現場での活用に非常に長けている先生で、限られた人しかもらえないMicrosoft MVPも受賞されています。「デジタルパワポ絵本シリーズ」は、私が絵を描き、稲葉先生にPower Pointに関するお知恵と技術を貸していただくことで、子どもたち自身が、自分の力で楽しみながらデジタル絵本が作れるようになることを第一の目標として作成しました。

小田:この類のアプリケーションはいくつか散見されますが、今回は教員に馴染みのあるPower Pointを使っているところに親しみを感じます。

関口先生:特別支援学校では、教育活動に絵本を用いることが少なくありません。例えば1年生では教科書に「おおきなかぶ」が載っていることから、通常であれば絵を見せながら本文を読めばよいのですが、さらに絵がアニメーションとして動くことで、お話の内容が受け取りやすくなる子もいます。そこで、どのような教員でも簡単にアニメーションも含めた絵本が作れるようになることを「デジタルパワポ絵本」制作にあたっての第二の目標としました。

小田:ダウンロードしてみて、個人的にはPower Pointってこんなこともできるの?!と驚きの連続でした。クリックするとページが自動でめくられたり、ボタン一つで説明が動画のように流れたり…(実際はこれらをアニメーション機能で達成されているのだとは思うのですが…)。あとは、子どもたちが自分で操作できることが前提にあることから、とにかく解説が分かりやすいです。

関口先生:煩雑な流れの場合、子どもたちに理解を求めることが難しいため、分かりやすく、そして楽しく取り組めるよう意識しています。絵本作りに必要と思われる動き、例えば大きさを変えたり、傾けたり、画像を重ねてみたり、好きなところに動かしてみたり…をマスターした後は、すぐに絵本作りに移れるよう、「三匹の子ブタ」用のイラスト集のスライドも添えています。ここからコピペするだけで、どんどん絵本が出来上がっていきます。

小田:既に授業に導入されている例もおありとのこと。子どもたちが「自分の力でPower Pointを使って絵本を作ってみたい!」と思えたり、主体的にICTを自分の生活に取り入れていく態度が醸成されていく一助となることにも可能性を感じます。

全国の先生方へのメッセージ

小田:あっという間のインタビューも、最後の質問を残すところとなりました。最後に全国の先生方へのメッセージをお願いします。

関口先生:教育現場にも、一人一台PCの時代がやってきました。コミュニケーションや読み書きに困難さのある子どもたちにとってICTは困難さを軽減するとても有効な手段だと感じています。より多くの子が自分に合った学び方を選択し、それが認められることで、自分の本来の力を発揮できる、そのような教育が当たり前のように広まっていくことを願っています。
 また、困難さのあるなしに関わらず、スマホやPCなどICTを活用することで、生活が豊かになることも増えます。ICTの危険性があるからと言って禁止しようとはせず、これからは危険性も理解したうえでICTをうまく活用していく教育が必要になっていくのだと思います。

 アトリエふにぽでは、多くの先生や子どもたちが、お便りだけでなく、表現することや作ることを楽しめるイラスト素材を今後も描いていきたいと思います。ぜひお便りだけでなく、教材づくり、プレゼンづくりにご活用ください。こんなイラストがあったらいいなというご要望もお問合せより受け付けています。今回のこちらの記事公開に合わせて、以下の写真のように新たにライン素材シリーズを120種類以上追加しました!見出しなどにご活用ください。

 教員コミュニティMIEE Talks@Admin.も先生目線や子ども目線で、大人も子どももワクワクできるワークショップやセミナーを企画していますので、お気軽にご参加ください。

小田:関口先生、大変お忙しい最中、長時間のインタビューにお力添えをいただきありがとうございました。

話し手

関口あさか先生 … 埼玉県立特別支援学校さいたま桜高等学園教諭。マイクロソフト認定教育イノベーター。MIE Fellow。MIEE Talks@Admin.代表。UDフォントエバンジェリスト。

聞き手/ライター

小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。

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