現役高校1年生(東京都)へのインタビュー。
- SNSのおかげで、入学前から友達。
- 部活動紹介にはYouTubeを活用。コロナ禍でも、先輩は優しかった。
- 将来の夢が少しずつ見えてきた。学校は楽しい。
小田:今日は、都内の高校に通われているYさんにお話しを伺ってまいります。
早速ですが、Yさんはこの春、高校に進学されたとのこと。ちょうど入学の時期は新型コロナウィルスの影響で学校も休校になっていたと思います。まずは高校生活の始まり方について教えてください。
Yさん:私の学校は、入学式もなく、急に高校生活が始まった印象でした。始まってからしばらくはオンラインでの授業でした。「Classi」(Classi株式会社)というアプリから配信された授業動画を見るよう言われていました。その後、6月に入ると出席番号を奇数と偶数に分けての分散登校が始まり、6月の後半くらいからようやく一斉登校になりました。
小田:実際にクラスの全員と直接顔を合わせたのが6月後半とのことですが、コミュニケーションは上手く取れましたか。
Yさん:入学する前から、Twitterの「#春から〇〇高校」で新しく入学する1年生のコミュニティが作られていて、インターネット上でまずは友達になりました。そのうち1年生のグループLINEができました。その後クラスが発表されると、クラスごとのグループLINEも作られて、「奇数グループ?偶数グループ?どっち?」とか、「部活は何部に入るの?」とか、直接会う前から結構話しをする友だちはできていました。分散登校の時は、奇数と偶数の違いで会えない友達もいるので、SNSで「早く会いたいね」などやり取りしていました。実際に会った時も、「あっ、この子か」といった感じで割とすぐに慣れました。今では仲のいい友達もたくさんいます。
小田:とても現代的な印象を覚えます。今の時代らしいつながり方ですね。
Yさんの学校では、学校行事はできているのでしょうか。
Yさん:体育祭は中止になりました。文化祭も通常のものは中止になったのですが、1年生の担任の先生方の発案で、1学年だけで「プチ文化祭」として、各クラスで1つずつ出し物を制作し、廊下に展示しました。モノを作るクラスもあれば、動画を作るクラスもありました。他の校外学習などの行事は中止になってしまいました。
小田:やはり色々と学校生活では変化があるようですね。それでも先生方の「生徒のために」という強い思いを感じます。
小田:Yさんは中学生の頃、吹奏楽部に入られていたとのこと。今は高校でも吹奏楽を続けていらっしゃるようですが、どのような入部の流れだったのでしょうか。
Yさん:6月の分散登校のときから部活動見学がありました。ただ、吹奏楽部は飛沫などの心配もあるので、見学の時は廊下から各パートの練習を見学する形を取っていました。あとは部活動紹介動画がYouTubeにアップロードされていたので、それを見て吹奏楽部への入部を決めました。
小田:感染症対策への苦労もあったでしょうが、部活動紹介動画がYouTubeで見れたのは、良かったように思います。
実際に入部され、部活動を行う上でのコロナ対策はどのようにされているのでしょうか。
Yさん:身の周りのものなどの基本的な消毒を行った上で練習をしています。練習時にはマスクは外していますが、しゃべるときはマスクをするように指導されています。最初のうちはずっとパート練習のみでしたが、今は合奏もできていますし、外部講師の先生にも来ていただけています。
小田:演奏機会についてはいかがでしょうか。
Yさん:吹奏楽部の大きな本番である夏の吹奏楽コンクールは中止になってしまいました。また本来、3年生の先輩方は文化祭でのステージで引退するのが通例でしたが、今回は文化祭自体がなくなってしまったので、1年生のデビューコンサート兼3年生の引退コンサートを外部のホールを借りて行いました。3年生の先輩方は、夏の吹奏楽コンクールもなく、目標もなかなか見いだせない状態の中、気持ち折れずに私たち後輩に色々なことを優しく教えてくれて、すごいなぁと思いました。
今では代が替わり1、2先生だけで活動してます。2、3年生は各学年20人くらいなのですが、今年度の1年生は1学年だけで40人くらい入ったので、1年生も色々な仕事を任されています。今は1月に行われる「シエナdeアン・コン‼︎〜アンサンブルコンテスト〜」と「東京吹奏楽コンクール新人戦」に向けて練習を行っています。「アンサンブルコンテスト」は各校2団体までしか出られませんが、私の学校では「アンサンブルコンテスト」に出ない人もアンサンブルを組んで、校内演奏会に向けて練習しています。「東京吹奏楽コンクール新人戦」は夏のコンクールとは異なり、人数制限がないため全員で出演することができます。どちらも並行して練習に励んでいます。
小田:今年の2、3月から新型コロナの影響が多くなり、休校や自粛などで日常生活も様々なことが変化してしまったと思います。コロナ禍を経て、これまでの考え方に何か変化はありましたか。
Yさん:うーん、「マスクがないと何か足りない」という感覚が出てきた気がします。マスクをしていることが普通という感覚でしょうか。「ソーシャルディスタンス」や「密」という言葉なども当たり前のように友達同士で口にするようになって、何だか「コロナが普通」という感覚になってきました。
小田:確かにその感覚、分かる気がします。Withコロナの生活が、むしろ日常のようになってきていますよね。
Yさんにとって今一番楽しいことは何ですか。
Yさん:友達と一緒にいることです。部活動が始まるのが遅かったこと、また毎日教室に行って帰ることを繰り返していたので、むしろクラスの友達みんなと仲良くなりました。中学生のときと比べてクラスの全員と話せているので、クラスにいてもとても楽しく過ごせています。部活動での仲間も、通常の部活や日曜練習でも毎日のように一緒にいるので、とても仲良くなりました。だから学校がとても楽しいです。
小田:担任の先生を含む、学校の先生方もとても気を配ってくれたのだと推察します。楽しいと素直に思える学校生活、素敵です。
コロナになってから、将来の夢に何か変化はありましたか。
Yさん:元々、将来の夢がなくて、高校に入ってからの面談で先生からアドバイスを受けたのをきっかけに、自分でも色々調べてみて少しずつ方向が見えてきました。私は人と話すことが楽しいと感じますし、人と関わる仕事がしたいので、今はサービス業に興味を持っています。
小田:人と人との関わり、そのリアルが詰まっているともいえるサービス業に関心が向いたこと、コロナからの気づきが少なくとも反映されている印象を覚えました。Yさんの夢、応援しています。
小田:最後に、全国の先生方へ一言メッセージをお願いします。
Yさん:休校期間が長く、勉強についていけるかとても心配していたのですが、先生方はすごく分かりやすく、ゆっくり勉強を教えてくれたので安心しました。また、担任の先生が一人一人のことをちゃんと見てくれているおかげで、明るく楽しい学校生活を送れています。中学より高校の方が、先生と仲良くなれている気もします。勉強のことだけじゃなくて日常会話もしてくれるから、自分の家族の話しもできるし楽しく学校生活が送れています。
小田:Yさん、今日はありがとうございました。
Yさん … 東京都在住の高校1年生。吹奏楽部。
小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。
福島達朗 … NPO法人みんなのことば事務局長、部活動指導員(渋谷区, 吹奏楽)、フリーランスのステージマネージャー
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