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2021.12.24 Fri

国際協力経験者が創る学童。体験を子どもたちの自信に。

神奈川県相模原市で学童を運営しているペパーソンインターナショナル株式会社の河野聡子さんにお話を伺いました。
  • ペップは国際協力経験者が創り出す学童であり、子どもたちの「第3の居場所」。
  • イベントへ参加した体験を子どもたちの自信に。
  • 国際協力経験者が創る学童。

    小田:2021年もあとわずか。私たちの生活にコロナによる影響が出始めてから、2年が経とうとしています。この間、学校現場ではオンラインによる授業のみならず、行事、子どもたちのメンタルケアなど、様々な対応が求められました。この記事をお読みくださっている方は、この2年間をどのように振り返るのでしょうか。
     さて、今日は先月ご協力をいただきましたNPO法人みんなのことば様に続いて、神奈川県相模原市を拠点に学童を運営されているペパーソンインターナショナル株式会社より、河野聡子さんにお話を伺います。

    河野さん:はじめに、ペパーソンインターナショナル株式会社(以下、「ペップ」)についてご紹介します。
     ペップは、日本政府の国際協力事業を担うJICA、国連の現場プロジェクトに30年間携わり、現在はエジプトで就学前教育プロジェクトに関わっている神谷哲郎を代表取締役とする会社です。2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、子どもたちに活力、元気、笑顔を提供することを目的の1つとして、2012年に発足しました。
     2013年春から放課後児童支援の場(がくどうプラス)を開所、最初は2名の子どもたちとともに始まりました。現在は32名の子どもたちが通っています。
     日本の子どもたちを対象とした事業の他には、普段海外で生活し、一時的に日本で過ごす子どもたちを対象とした事業や、普段がくどうプラスには通っていない子どもたちも一緒に学べるような機会創出も行っています。

    小田:ペップは、スタッフの経歴にも特徴があるとのこと。

    河野さん:国際協力に携わった経験をもつスタッフが数多くいます。豊富な経験を通して獲得した視野の広さ、柔軟性、ノウハウをもっている、おもしろいメンバーです。具体的には、JICAの青年海外協力隊としてエジプトやスーダン、モルディブ、ヨルダンなどでコミュニティ開発や幼児教育、体育や美術の指導等にかかわり、個々の専門性を活かした活動をペップでも展開しています。
     その他、近隣大学(東京学芸大学、東京都立大学、東京造形大学など)とのつながりもあり、大学生にも「ななめの関係」を大切に、子どもたちに日々かかわってもらっています。

    小田:学生さんの生の声が記事としてまとまっているものは、こちらからダウンロードができます。※クリックすると記事のダウンロードが始まります。

    河野さん:こうした放課後児童支援の現場も、コロナの影響を受けざるを得ませんでした。複数校から子どもたちが集う場に子どもを預けることを不安に思われる保護者の声もあり(それは当然にも思うのですが)、そうした保護者の不安を少しでも軽減するために、子どもにかかわるスタッフや学童の開所時間を限定するなどの対応をしました。また保護者の方の働き方が大きく変わる機会でもあったため、朝早くから子どもを預けられるよう体制を整えたり、ご希望によっては自宅からの送迎も行ったり、オンラインで活動を提供できるよう工夫もしました。

    小田:ペップは子どもたちを預かり、学習習慣の定着(宿題をしっかりと終える)をサポートするだけでなく、ことばや音楽、アート、運動、科学など、独自のプログラムを通して子どもたちの認知的・非認知的な側面を総合的にサポートされようとしていると拝見しています。国際協力の現場での特別な経験をもったスタッフの方が創り出す子どもたちの「第3の居場所」の魅力を感じます。

    「コロナ禍でもできた」という体験を自信に。

    小田:ペップでは、毎年特色あるイベントの実施をされているとのこと。

    河野さん:今回はペップの主催するイベントから2つご紹介したいと思います。  1つ目は、毎年夏に行っている「サマースクール」、「サマーキャンプ」です。「サマースクール」は日帰りのイベント、「サマーキャンプ」は宿泊を伴うイベントとなっています。
     「サマースクール」は、例年夏休みの冒頭週に行うもので、今年は7月26日(月)~30日(日)、8月2日(月)~5日(木)の2回分のイベントを実施しました。7月のサマースクールAの概要はこのような感じです。

    小田:今年はオリンピックイヤーということで、「オリンピックのせかい」をテーマとされたのですね。
     「サマーキャンプ」は1泊2日と、2泊3日に分かれており、1泊2日の活動は以下だったとのこと。

    河野さん:「サマースクール」も「サマーキャンプ」も、子どもたち同士が協力し合い、創意工夫の中で学びの時間を過ごすことを目指した内容構成となっています。
     このイベントは一般参加も可能なため、毎年50名近い子どもたちが一緒に学び、交流しています。初めて出会う友達同士が学び合う仲間となり、夏休みだからこそできる体験を精一杯楽しんでもらいたいと願い、がくどうプラスを開所した2013年から継続的に実施しています。

    小田:サマーキャンプの場合は宿泊を伴うことから、保護者の方々が休む時間も作れますね。

    河野さん:子どもへのかかわりに加えて、日々、子育てに奮闘中の保護者を応援したい。そのためには何ができるのかを常に考えています。長い夏休みに宿泊を伴う活動を企画することで、保護者が休めるような機会を作ることはとても喜ばれます。また、普段とは違う子どもとのかかわりを持ってもらうために、今年のサマースクールでは保護者の方のお仕事紹介の場を作りました。保護者自身の心身の健康、そして子どもとの豊かなかかわり方をサポートすることはこれからも大切にしていきたい視点です。

    小田:「サマースクール」に「サマーキャンプ」と、コロナ禍での実施を通して、子どもたちは何を感じ、考えたのかが気になります。

    河野さん:実体験を大切にするので、どうしても友達、スタッフ、施設の外で出会う方々との接点が多くなります。感染対策には日々注意を払い、泣く泣くいくつかの活動は諦めて日々を過ごしました。結果として陽性者が出なかったことについては運が味方をしてくれたようにも感じています。制約の中での活動は、「除菌している時間すらもったいない(必要な事だとわかっているけど、子どもたちの気持ちや学びの流れを止めてしまうように感じて…)」、「集合写真を撮る時くらいマスクを外した表情が見たいのに」と、残念に思う気持ちがわいてきます。そんな思いで子どもたちと話していると、むしろ笑顔で「あのとき〇〇くんはああだったよね~」「去年はああだったよね~」と。制約の中で過ごす時間も経験も、ちゃんと思い出にしてくれているんですよね。「みんながお互いのことを気遣ってくれているから、こうした活動ができるんだよ」と話す時も、子どもたちはその意味をとてもよく分かっているように感じ、嬉しく、頼もしく思いました。
     コロナ禍下でサマースクールやキャンプに参加した体験は、成長していく中で、「あのときこれができたんだから大丈夫!」と、自信となって子どもたちの中に残っていってくれるだろうと信じています。
     お父さん、お母さんにとってコロナ禍は感染への不安の中、試行錯誤の日々です。それは私たちも同じ。2020年、2021年の夏休みは、感染者を出したら・・と自問しながら実施を決断しましたが、制約の中でもめいっぱい楽しもう、学ぼうとする子どもたちの姿、たくさんの笑顔に出会うことができました。私たちが出来ることをやりきることで、保護者の方へ「子どもたちの学びはどんなときでも止めることはできません。不安の中でも一緒に子どもたちの成長を見守っていきましょう!」と、私たちの真剣な向き合い方、想いを示せたのではと思っています。

    海外在住の子どもも、日本在住の子どもも、共に学び合う。

    小田:ペップ主催の特色あるイベントとして、もう1つ「海外サマースクール」があるとのこと。簡単にご紹介頂けますか。

    河野さん:国によっても異なりますが、海外で生活している子どもたちは2か月以上夏休みが続く場合も多いようです。そうした子どもたちが日本に一時帰国するタイミングで参加できるイベントが「海外在住小学生対象のサマースクール」です。

     調査によると、日本にルーツを持ち海外で暮らす子どもたちは10万人以上いるそうです*。彼らが日本滞在時に、家族以外の人と楽しい時間を過ごし、自然や生活・文化に触れる機会はとても貴重と考え、この企画を行っています。
    *海外在留邦人子女統計 H28 に基づく推測数

    小田:がくどうプラスに通っている子どもたちとの交流機会もあり、日本に住んでいる子どもたちにも貴重な経験になりますね。

    河野さん:施設近くの公園に行ったり、お金を使って駄菓子屋さんでお買い物をしてみたり、道端の畑を見たり。そういった日常の生活体験が喜ばれます。そして、体験や子ども達とのかかわりの中で感じた気持ちを言葉で表現してみることで、日本語、日本への愛着につながります。

     日本に住む子どもたち、海外で生活をする子どもたちが、学び合い、一緒に遊ぶことができる放課後のひと時は、それぞれの子ども達にとって忘れられない記憶になることでしょう。
     これからの日本社会はますます多様化し、住んでいる場所に制約されないつながりのなかでコミュニケーションを図り、未来を創ることが求められてくると感じています。「生きる力」を問い、ペップらしい活動をこれからも展開していきたいと考えています。

    全国の先生方へのメッセージ

    小田:最後に、全国の先生方へ一言メッセージをお願いします。

    河野さん:コロナ禍下の日々。心が折れそうになったこともあります。それでも振り返ると、子どもたちの笑顔や成長に触れ、見守ることの嬉しさ、この仕事のやりがいを再認識できた2年間だったと思います。また、こういうときだからこそ「つながる」 ことの大切さも改めて感じました。
     まだまだ大変な日が続くのかもしれませんが、子どもの毎日の成長を支えていけるよう、一緒にがんばりましょう!

    小田:河野さん、本日はありがとうございました。

    話し手

    河野聡子様 … ペパーソンインターナショナル株式会社
    PEPキッズ・がくどうプラス 専任指導員

    ペパーソンインターナショナル株式会社
    HP:https://www.peperson.info/
    Facebook:https://www.facebook.com/PEPersoninternational/

    聞き手

    小田直弥 … POWER FOR TEACHERS編集長。東京学芸大こども未来研究所学術フェロー。国立大学法人弘前大学助教。

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