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2021.11.26 Fri

外部団体との連携は遠慮せずにアプローチしてみる。NPO法人みんなのことばの取組紹介。

様々な学校との連携実績があるNPO法人みんなのことば。代表理事渡邊悠子さんにお話を伺いました。
  • 特別支援学校でのワークショップは、学校のみならず団体としてのメリットもあった。
  • 子どもたちのために学校に協力したいと思っている企業・団体は少なくない。
  • 連携したい外部団体がある場合は遠慮せずにアプローチしてほしい。
  • 音楽で子どもの心を育てる。

    小田:先月開催しました教職員向けオンライントークイベントではサントリーホールディングス株式会社様のお力を借りて、「地域の企業と学校とのつながりを考える」というテーマを参加者の先生方と共有いたしました。新学習指導要領にて「社会に開かれた教育課程」が言われていることから、社会と連携・協働した教育活動の充実が、これまでにも増して学校に求められています。
     今回は、学校と連携した活動も実施されている「NPO法人みんなのことば」の代表理事渡邊悠子さんにお話を伺ってまいります。はじめに、御団体のご紹介をお願いします。

    渡邊さん:NPO法人みんなのことばは2009年に設立した団体で、今年で12年目を迎えました。音楽で子どもの心を育てる活動を行っており、主に未就学のお子さん向けのプログラムをプロの音楽家と一緒に実施しています。
     五感を働かせ、自由な表現を楽しみながら自然に学んでいく未就学の子どもたちには、その時にしかできない体験や学びを大切にしてほしいと考えているのですが、意外にも未就学の子どもたちを対象としたプログラムは少ないのが現状です。そうした背景から、「いつもの場所で、いつもの仲間と、楽しく表現できる機会を作りたい」という思いをとても大切に活動を行っています。

    小田:バーチャルな体験が急激に増えている今、プロの演奏家との、生の音楽体験の機会を創出していくことの意義はますます高まっているように思います。

    渡邊さん:私たちは、訪問演奏会のスタイルを一番大切にしているのですが、その場合、活動を展開していくうえでどうしても資金が課題となり、プログラムを実施したいけれども予算がないという壁に当たることがあります。企業様をはじめとした、私たちの活動を支援くださっている方からの寄付金や官公庁・自治体の補助金、各種団体の助成金を頼りとして、可能な限り、すべての子どもたちへ体験を届けていきたいと考えています。

    小田:御団体のHPを拝見し、「届けるのは”音楽”ではなく”体験”です」という文言に魅力を感じました。音楽を目的とするのではなく、音楽を手段として体験を提供すること、その体験にこそ子どもたちの心を育む可能性があるのだと受け取りました。
     御団体は、オンラインでの活動として「うち×うた」も展開されていますね。

    渡邊さん:新型コロナウィルス感染症の影響によって、2020年3月から、演奏活動が突如できなくなり、その後半年は1つも演奏会ができませんでした。つまりは、一人の子どもにも演奏会を届けることができなかったのです。当時、代替として巷で登場したのはオンラインでの演奏会で、私たちが大切にしていた生の音楽体験の機会は自然と失われていました。
     学校にも行けない、遠足も行けない、歌う活動すらできないという我慢が強いられたていた状況に対して、「おうちであればのびのびと一緒に歌えるかもしれない」と希望をもって始めたのが「うち×うた」という活動になります。何もせずに状況が回復するのをただただ待つのではなく、こうして行動して、オンラインではありましたが、お友達との交流を楽しんでくれる参加者の姿を見て、とても嬉しい思いでした。

    小田:生の音楽体験ではないとしても、音楽を手段として子どもたちの心に働きかけるという意味では、御団体の理念を新しい方法で具体化されたものと感じています。

    特別支援学校での活動。Dream Up。

    小田:御団体の主たる対象は未就学の子どもたちと伺いましたが、特別支援学校の生徒さんたちとのプログラムも実施されたご経験がおありとのこと。

    渡邊さん:世界的な金融機関「BNPパリバ」が世界29か国で展開する、支援が必要な子どもたちに芸術教育を通じて才能開花の機会を提供する「Dream Up」という社会貢献活動があるのですが、その日本の連携先として私たちの団体を選んでいただき、その一環として行ったのが東京都立村山特別支援学校等との取り組みでした。
     これまで私たちがうかがった幼稚園や保育園にも、特別な支援を必要とする子どもたちは一定数いましたが、そのようなお子さんだけを対象にする企画はこれまでありませんでした。ただ、「Dream Up」という機会に恵まれてわかったことは、私たちが主に対象としている未就学の子どもたちだけでなく、特別支援学校の子どもたちも、生の音楽体験をする機会が少ないという点です。さらに、私たちが今まで未就学児対象での活動で培ってきたさまざまなノウハウの強みを実感できたこと、それだけでなく子どもたちとの交流から音楽家自身の成長につながったことは大きな成果でした。

    小田:特別支援学校さんの場合、外部の方、特にプロの演奏家の方と一緒に活動をするという活動の機会は少ないかもしれませんね。そうした意味でも、御団体のみならず、学校さんにとっても貴重な機会だったように感じます。
     一方で、学校との連携となると、ちょっと打合せしてすぐ本番とはいかなかったように思います。

    渡邊さん:このプログラムのために、音楽の授業に3時間ほど参加させていただきました。授業の前後に打ち合わせをおこない、音楽の先生や担任の先生と連携をとり、例えば音楽の授業で取り組んでいる曲、その他に合奏したことのある曲、子どもたちの好きな曲などを情報交換し、打ち合わせを重ねて、ようやくワークショップの実施にたどりついた、という具合です。

    小田:音楽の先生や担任の先生のみならず、管理職の先生のご理解・ご協力もあっての実現だったと思います。
     2018年度の様子がまとめてある記事を拝読したのですが、子どもたちの顔が本当に生き生きとしていて、素敵な取り組みですね。

    渡邊さん:弊団体における「Dream Up」の取り組みは昨年度をもって完了してしまったのですが、この活動を継続してほしいという声はたくさんいただいており、活動を続けていくための補助金をいただけるよう、協定を結んでいただけるような自治体を探しているのが現状です。

    小田:「Dream Up」2020年度終了後に公開された動画ではワークショップの様子、先生方、参加した音楽家のインタビューも含まれています。

     「うちの学校でもプログラムをやってみたい、けれども予算が…」という学校もあるかもしれません。資金面でのご協力をいただける企業様が手を挙げてくださるとありがたいのに加えて、こうした活動にご賛同いただける自治体様のご協力も頂戴したいところですね。

    学校と連携したい外部団体。

    小田:御団体のこれまでのご活動のうち、中野区の公立保育園の園長先生のお声がきっかけで開催された、複数の地域の就学前保育施設の子どもたちと小学校1年生の子どもたちの交流を目的としたコンサートがあったと思います。

    渡邊さん:お声掛けくださった園長先生の想いとして、来年同じ小学校になるかもしれない近所の保育園のお友達との交流の機会を作りたい、小学校に入った時に出会うお兄さん、お姉さんとの交流の機会を作りたいというものがありました。

    小田:未来の小学生が集い、交流するというアイデアが素晴らしいと思いました。小1プロブレムが言われて久しいですが、かねてより保幼小接続は課題でもありました。未来の小学生が交流するための手段としてコンサートを活用している点、子どもたちが自然と打ち解け合えるギミックになっているようにも思います。
     1つ、ぜひお伺いしたいことがあります。この記事の冒頭でもお伝えした通り、いま学校は、社会と連携・協働した教育活動の充実に向けて学校ごとに挑戦されているところです。一方で、学校外の団体と手を取り、一緒に教育活動をしていくことは容易ではないはずです。御団体は様々な学校との連携実績があると思いますが、御団体から見て、学校が外部団体と連携するときのヒントがあれば教えていただきたいです。

    渡邊さん:私たちはNPO法人のため、企業様より、例えば場所や資金などのご支援をいただくことで継続した活動が実施できています。なぜ、企業様がご支援くださるのか、というところについては、私たちの団体の活動を通して子どもたちが明るい未来へ向かっていくことを期待くださっているからと考えています。地域に貢献したい、社会をより良くしたいと考えていらっしゃる企業様は多く、特に子どもたちのためにより良い取り組みをしたいという団体様は少なくありません。企業様にとって、学校とともに活動をすることは、自分たちの強みを使って、子どもたちに貢献していると言えます。連携したいと考えていらっしゃる外部団体がある場合には、遠慮せずにアプローチしてみることが良いと考えています。

    小田:学校は、これからの社会を支えていく人材を育てている場のため、そこに貢献したいと考えている企業・団体様が多いことは当然に思います。むしろ、学校と関わりたいけれども、どのような協力ができるのか分からないと思っていらっしゃる企業様もあるように思います。

    渡邊さん:企業・団体様との連携ができるような場を学校が作ってくれる、そうでなくとも遠慮せずにお声掛けいただけると嬉しいです。

    全国の先生方へのメッセージ

    小田:最後に、全国の先生方へ一言メッセージをお願いします。

    渡邊さん:これまで私たちが学校様と連携して感じたことは、生徒さんはもちろん、先生方も学校外や各種のプロフェッショナルとの交流、そして学内だけではできない「体験」を潜在的に求めていらっしゃるということです。また、地域や保育園など学外との交流の機会へのニーズと併せて、それを実現することの大変さも実感しました。私からは「そのような状況にこそ、外部に頼ってみてください」とお伝えしたいです。私たちみんなのことばに限らず「子どもや地域のためにできることがあれば」と思っている団体様・企業様は少なくありません。ぜひ、遠慮なく相談してみてください。
     なお、みんなのことばでは、プロの音楽家とのワークショップや、年齢・要支援の有無・国籍も問わず、みんなで楽しめ交流できる音楽のプログラムをご提案できますので、お気軽にお問合せください。

    小田:渡邊さん、本日はありがとうございました。

    話し手

    渡邊悠子様 … NPO法人みんなのことば 代表理事
    HP:https://twitter.com/yuko__watanabe/
     
    NPO法人みんなのことば
    HP:https://www.minkoto.org/
    Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCas7OCO8vs4zfyOGy_zbBiw
    Facebook:https://www.facebook.com/minkoto
    Instagram:https://www.instagram.com/minkoto_official

    聞き手

    小田直弥 … POWER FOR TEACHERS編集長。東京学芸大こども未来研究所学術フェロー。国立大学法人弘前大学助教。

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