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2021.07.23 Fri

教育実習生を指導する。その心構えは?

「原口直の一歩先ゆく音楽教育」を運営する原口直先生へ、教育実習をテーマにしたインタビュー
  • 新しい知見をもった実習生から、さらに学ぶ。
  • 様々なキャリアの積み方がある現代だからこそ、すぐに教員にならない実習生も広い心で受け入れる。
  • 未来を生きる実習生のために、指導も未来版を意識するなど、原口先生の動画もチェック。
  • 無料オンライントークイベント:「YouTubeと学校」

    小田:さて、今回インタビューをさせていただくのは、前回1月22日に続き2回目のご協力をいただきます、原口直先生です。前回は、「JASRAC PARK」など、音楽に関する著作権を知りたいときに参考となるサイトの紹介等をいただきました。実は、前回のインタビューをきっかけに、原口先生には現在、新しい企画にもご協力をいただいております。原口先生、企画について、ご紹介いただけますでしょうか。

    原口先生:8月22日(日)14時~15時の1時間、教育YouTuberとして大人気の葉一さんとご一緒させていただき、無料のオンライントークイベントを開催いたします。全国の学校教職員の方であれば、誰でも申込可能のイベントとなっており、お申込いただいた方の中から、抽選で500名様をご招待するものです。
     このトークイベントでは「YouTubeと学校」をテーマにしています。「YouTube」は今や、ずいぶんと私たちの身近な存在となっているように思います。私生活や学校でも使用されている先生がいるかもしれませんし、またその活用の幅も、使いこなしている先生から、あまり活用されていない先生までいらっしゃるとも思います。そうした「YouTube」という言葉・概念を「学校」の中に置き換えた時に、どのように活用することができるかということを、YouTubeやオンラインに精通されている葉一さんと一緒に考えていくという内容になります。

    小田:7月30日(金)が申込締切となっており、すでに、全国から多数のお申込みをいただいている状況です。YouTubeを教育ツールとして捉えていくための視点にご関心のある先生もいらっしゃれば、1人1台端末時代の今、ノートと端末をどのように使い分けていくか等、YouTubeに限らず、これからの教育についてご関心をお持ちの先生もお申込みいただいておりました。是非ともこの機会に、一人でも多くの先生方と一緒に考えたいテーマです。

    ▼チラシはこちらから
    https://www.u-gakugei.ac.jp/pickup-news/upload/210628a.pdf
     
    ▼申込はこちらから
    https://bit.ly/3wIkxg1

    教育実習生を受け入れる。指導教員の心構えは?

    小田:さて、まもなく全国の学校は夏休みに入ることと思います。そして、夏休みが明けると、教育実習のご対応をされる学校も多くなるのではないでしょうか。教員の働き方改革に加えて、教育実習生も定時退勤ができるような工夫が求められている今、せっかく原口先生に今一度お話をお伺いできる機会を頂戴できたので、今回は「教育実習」をテーマとさせてください。
     早速ですが、教育実習と言えば、教育実習生の心構えのようなものについてはインターネット上でも数多く見かける一方で、実習生を指導する「指導教員の先生への情報」は少ないように思います。まずはこの背景から教えていただけますでしょうか。

    原口先生:そのためには、実習生を受け入れてくださる先生たちがどのような人たちなのかを考える必要があります。附属学校と公立学校を比較しながら考えてみると、附属学校では全教員が実習生を受け入れる立場になっている一方で、公立学校では、教員を指導する立場にある先生や、ある程度の経験を重ねているベテランの先生が実習生を受け入れることが多くなっています。

    小田:公立学校の場合、すべての先生が実習生を受け入れられているわけではないこと、また管理職の先生やベテランの先生がご担当されることが多いとなると、実習を担当する他の先生のお姿を長年ご覧になられている経験があるために、オフィシャルな情報が少ないと理解しました。
     その他、附属と公立学校とでは、実習生への指導上の違いはあるのでしょうか。

    原口先生:附属学校では毎年コンスタントに実習生を受け入れるので、指導教員側が反省する機会も、それを次回に生かす機会もある程度保障されているため、実習の指導をブラッシュアップするサイクルを作りやすくなっています。一方で、多くの公立学校でも実習生を受け入れてくださっているのですが、公立学校では実習生は毎年来るとも限らず、また学生の人数や個々のモチベーションも様々で、誰が担当するかもその時々になる傾向があるため、どうしてもその時で完結して、ブラッシュアップの機会までつながりづらい印象があります。

    小田:附属学校の場合、全教員が実習指導をされるとのことですが、実習生への指導方法などを学ぶ機会はあるのでしょうか。

    原口先生:私の場合は自身が音楽科で1人教科でしたので、他の附属の音楽科の先生にいろいろとうかがっていました。ただ、実際に指導するのは自分なので最終的には自己流になってしまうことも多かったです。それから大学側と各附属学校には実習担当がおり、大学側と連携が取れているため、どのような指導を行ってほしいか、どのようなことを注意してほしいかなどの情報を得ることができます。

    小田:原口先生は何年間実習生を担当されたのでしょうか。

    原口先生:私は合計で6年間実習生を指導しました。教科ではもちろん、担任を持っていた時は学級での指導もしていました。

    小田:原口先生から見て、実習生を担当される先生が知っておくべき心構えのようなものがあれば教えてください。

    原口先生:正直私自身、初めのころは、実習生を受け入れるのは時間がうばわれるというマイナスな印象をもっていました。しかし、受け入れていくうちに自分の学びにつながることに気づき、そこから実習生を担当することが好きになりました。
     実習生は大学で最新の指導法や学習指導要領との向きあい方、話題、教材など新しい知見をもっているため、彼らは私にいつも新しいアイデアをくれます。実際に、実習生から学んだことを教科指導にも生かしたりしています。もちろん、時間が取られてしまうことは事実ではありますが、実習生を受け入れることは決してマイナスではなく、むしろプラスなことなのだと私は強く感じています。

    教育実習生指導。お悩み質問コーナー!

    小田:実習を担当することになった先生もお悩みを抱えている方は少なからずいらっしゃいます。そこで、いくつか代表的なお悩みを集めてみましたので、それを原口先生に1つずつ聞いてみたいと思います。 
     早速1つ目の質問は「実習を通して実習生に学んでほしいねらいをどのように定めればいいのでしょうか?」というお悩みです。

    原口先生:教育実習で一番大きなことは、生の子どもたちに触れ合うことです。これは大学や図書館で絶対に学ぶことができません。そのため、一番は実習生と児童生徒たちとが直接関わる時間を多く設けてあげ、その中での実習生の学びを支えてあげることが大切に思います。
     また、実習は自分が考えてきた授業を実際に子どもたちにぶつけてみる機会でもあります。自分が考えてきた授業に対しどのような反応を子どもたちが示すのかというリアルな反応を一つでも多く感じて帰ってほしいと思っています。机上でできることは大学に帰ってからでもいくらでも学ぶことはできますので、実習の時にしかできない児童生徒との関わりや、指導教員が児童生徒と関わっている姿を間近に見ることなどを大切にしてほしいと思っています。

    小田:私も実習前は大学で学習指導案を作ったり、模擬授業をしたりと、それはそれで充実した学びだったと感じていましたが、やはり子どもたちと直接関わることでの学びや、授業をすることの責任など、実際に現場でなければ感じることができなかったとても大きな学びがあったと振り返っています。
     続いての質問です。「こちら(指導教員)の意図が実習生にうまく伝わらずコミュニケーションのズレが生じるときがあります。このような時にどのように対処すればいいのでしょうか?」

    原口先生:お互い初めましての状態からスタートしますので、ミスコミュニケーションはもちろん起こります。実習生を指導する立場としては、児童生徒に教えるときと同じで、実習生がどこでつまずいているのかを見取ること、そして実習生が分かっているところまでこちらから下りていってあげることが大切だと思います。ズレが生じてしまうことは仕方のないことだと思いますので、1つ1つ丁寧に埋めてあげることが必要です。
     附属学校の場合は、実習生は同時に4、5人来ますので、実習生同士で学び合いをしてくれます。なので、1人でも指導教員の意図が伝われば、実習生の中で共有したりフォローしてくれます。

    小田:続いては「指導教員側の連携はどのように取ればいいのでしょうか?」ということですが。

    原口先生:例えば、中学校でいうと、教科と学級にそれぞれ実習生が行きますので、教科担当の指導教員と学級担当の指導教員とでの情報共有は重要です。附属学校の場合でしたら、実習中でも他の附属校とのヨコの連携を取ったり、大学側と連絡を取ったりもします。公立学校の場合も、経験のある先生からお話をうかがったり、また附属学校によっては実習生の受け入れ方などの情報も広く発信しているところもありますので、そういったところから色々な情報を得ることもできます。
     願望ではありますが、教育実習指導について、何か技やこだわりをお持ちの先生が全国にはたくさんいらっしゃるはずですので、それらを整理して、初めて教育実習生指導を行う先生方の目に触れられるようなデータバンクのようなものができたらなと思っています。

    小田:次の質問は「卒業要件だから仕方なく実習に来ているような実習生のモチベーションを上げるのにはどうしたらいいのでしょうか?」ということです。

    原口先生:やはりそういう学生さんは一定数いるのが現実です。私の場合は最初に教員志望かどうかを確認します。ここで少し注意が必要なのが、教員にならないという選択が決して学生のモチベーションのせいだけではないということです。特に音楽科の場合は、自治体によっては採用数が少ないこともあり、教員になりたくてもなれないという状況が起きています。そのような状況にあることを指導教員として理解しておく必要もあると思います。
     また私自身のキャリアの積み方にも影響がありますが、大学卒業後すぐに教員になることだけが道ではないということです。これは私自身も実体験し、またその選択がよかったと思っているということも学生に話したりもしています。例えば就職活動をしているという学生にも、応援はしつつ、私のように何年後、何十年後に教職に戻ってくるかもしれないということ話したり、また逆に、教員免許や自身の音楽の能力や経験などが、間接的にでも実際の就職にも生きていくことなどを伝えると、その学生のモチベーションを高めることにもつながります。

    小田:確かに近年は、すぐに教員になりたいというより、「いずれ教員になりたい」という発言を耳にする機会が増えてきているように思います。

    原口先生:私自身も教育実習で圧倒的に自分に足りない部分を見つけ、それで学び直しの遠回りをするという選択肢を選びました。もちろん、先生や教科、校種などによっては、すぐに教員になった方がいいという考えもあるかと思います。ただ、今だったら色々な生き方、遠回りする道もあると思いますので、広い心で実習生を受け入れていただきたいと思います。

    小田:最後の質問です。実習生は、現場の今を学ぶことがとても大切なミッションに思う一方で、実習生が実際に現場に出ていくのは少し先の未来ですし、ここ最近の教育界の動きとしては、プログラミングが必修となり、道徳や英語の教科化、1人1台端末など、目まぐるしい変化と言っても良いと思います。「未来の学校教育を支えていく実習生に、今の教育現場を生きる教員として何を伝えればよいのでしょうか?」。

    原口先生:私の場合は実習生に、教員という職業は社会の中ではとても小さく、とても少数派の職業であるということを最初のオリエンテーションで話していました。私が学んでいた東京学芸大学では、どうしても家族や親戚、友人などに教員が多くいたり、仕事=教員という方も多くいたように思います。しかし、社会の中で教員はほんの数パーセントですし、その役割も良い意味で小さいものです。だからこそもっと広い視野で物事を見なくてはいけないということを実習生には伝えていました。なので、未来もしかり、もっともっと広く、もっともっと先を見た方がいいということを伝えています。

    小田:今回のテーマについて、原口先生は「教員のための教育実習生の指導方法/スキルアップ編」という動画を配信されています。上記以外についても原口先生のご視点を学ぶことができます。あわせてご覧ください。

    全国の先生方へのメッセージ

    小田:最後に、全国の先生方へ一言メッセージをお願いします。

    原口先生:全国の先生方も漏れなく教育実習に行かれたことと思います。良くも悪くも、その時の教育実習が強烈な思い出になっている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私個人の教育実習のことを話してと言われたら、何時間でも話せると思います。実習生を受け入れる先生は、その逆の立場を考えていただければよいのではないかと思います。例えば、新卒の先生がきた時でも、実習を経てきたのだなと思ってほしいですし、自分が教育実習で得たことを大事に思ってほしいなと思います。あとは、校務が増えたと思うのではなく、自分が学ぶ機会、大学生から学ばせていただく機会が増えたと思って実習生を受け入れていただきたいと思います。

    小田:原口先生、今日はありがとうございました。

    話し手

    原口先生 … 「原口直の一歩先ゆく音楽教育」を運営。足立区公立中学校、東京学芸大学附属世田谷中学校元音楽科教諭。現在、東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー、JASRAC 音楽文化事業に関する有識者委員会委員、SARTRAS 共通目的事業委員会専門委員。
    ブログ:https://makiba.work/
    YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCGfW2ZFmtDtnotodeUAApNA
    書籍:『YouTubeで授業/学級経営やってみた!』

    聞き手

    小田直弥 … POWER FOR TEACHERS編集長。東京学芸大こども未来研究所学術フェロー。国立大学法人弘前大学助教。

    ライター

    福島達朗 … NPO法人みんなのことば事務局長、部活動指導員(渋谷区, 吹奏楽)、フリーランスのステージマネージャー

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