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2020.12.04 Fri

異校種間人事交流とコロナ対策。新しい気づきと試行錯誤を力に変える。

中部地方の特別支援学校にお勤めの中堅先生(S先生)へのインタビュー。

異校種間人事交流。中学校から特別支援学校へ。

小田:今日は中部地方の特別支援学校にお勤めの中堅先生、S先生にお話しを伺ってまいります。はじめに、S先生のお勤め先の学校について教えてください。

S先生:現在勤務している特別支援学校には主に知的発達に遅れのあるお子さんが通っており、ここで私は中学部2年の担任をしています。私はもともと、中学校での採用だったのですが、異校種間人事交流の一環として、今は特別支援学校に務めています。

小田:中学校でのご指導と、特別支援学校でのご指導では、ギャップも大きかったのではないでしょうか。

S先生:私は特別支援学校での実習経験もなかったので、最初は慣れるまで時間がかかりました。ただ、特別支援学校の良いところは、複数の先生で1クラスの担任をもつことです。初年は6人の生徒に対して3人の先生が一緒に指導にあたりました。私以外にも2人の先生がいてくださったので、相談をしながら進めていけたのは心強かったです。

小田:きっと、特別支援学校での日々を通して様々な気づきもあったことと拝察しております。

S先生:そうですね。特別支援学校における生徒観が、中学校における生徒観と異なっていると感じました。それは、中学校では「指導」が先に来ることが多いと感じていたのに対し、特別支援学校では「支援」が先に来ると感じたことです。「支える」というマインドについて、今までの私の職業観には足りなかったと思い、引き出しが増えた印象です。

小田:中学校でのまとまったご勤務経験があったからこそ、特別支援学校でのお勤めで、しっかりと比較して気づきを得ることができているのだと感じます。

S先生:また、私は子育てを経験しているからこそ、障害のある子どもたちにすっと入っていけたのだとも感じています。

小田:いま、特別支援教育の考え方は全ての校種に必要だと言われています。今後、人事交流を終えられて中学校での勤務に戻られたとき、特に取り入れてみたい視点はあるのでしょうか。

S先生:障害者理解やユニバーサルデザインの視点について、たくさんのアイデアをいただけたと感じています。この点、中学校に戻った時、子どもたちに伝えられることは増えたと思います。

コロナ対策は、大きく2つの視点から。

小田:S先生の学校では、どのようなコロナ対策に取り組まれているのでしょうか。

S先生:コロナ対策については大きく2つの視点があるのですが、1つ目は空間の使い方を工夫したことです。例えば、給食はこれまで、みんなで食堂で食べていたのですが、これについては教室で食べるようになったこと、またスクールバスを増便して台数を増やしたことです。2つ目は授業の作り方です。可能な限り少人数で、生徒間の距離を保つなどの環境構成を工夫し、消毒作業も配慮に含めた授業実施をしています。

小田:2つ目の授業の作り方の工夫について、特にご苦労が多かったと思います。

S先生:私の勤務校では、音楽や体育、美術などの実技教科は、中学部の1年生から3年生全体で、障害の実態別に縦割りグループを作っています。私の専門は音楽ではないのですが、特別支援学校に勤務してからは音楽を担当することになったので、今は学校の中でも障害の重いグループでの音楽を担当しています。
 このグループで、私はリトミック等を行っています。到達目標は変えずに、方法を工夫した授業展開をしたいと考えているのですが、実際は壁にぶつかっています。例えば、身体接触を伴う活動を取り入れることができなくなったので、みんなで手をつなぐ活動は、手をつなぐ代わりにロープをみんなで持つことも考えたのですが、結局それは共有物になってしまうので、断念しました。

小田:ただでさえも専門外の科目を指導するのはご苦労があるにもかかわらず、コロナ禍で特に活動制限の多い音楽を担当されるとは…。

S先生:どこまで厳密なコロナ対策をすべきなのか、悩ましいところです。今年からはリトミック研究センターにも通い始めたので、様々なネタを集めて、こつこつと試行錯誤を進めていきたいと考えています。

もう間もなく? 2021年度。

小田:先日、福岡県の中学校にお勤めの辻先生にお話しを伺ったところ、辻先生の学校ではすでに来年度の行事などの検討が始まっているとのことでした。S先生の学校ではいかがでしょう。

S先生:学校としては、来年度の行事予定がもし中止にならざるを得なかった場合、その代替案をどうするかという検討が始まっていると聞いています。
 私の知りうることとしては、私が中学部2年の担任をしていて、来年は3年に持ち上がることから、修学旅行の検討は始めています。例年であれば、都市部に行くところを、来年度については近隣の県へ変更し、移動もなるべく少なく、それでいて山や海での自然体験ができるところを検討しています。

小田:GIGAスクールの準備についてはいかがでしょうか。

S先生:私の学校ではまだ本格的に準備が進み始めたという状況ではありません。ただ、教員をしている友人が勤める学校では、教室にタブレットを充電するための棚を作るための工事が始まっていると聞いています。その棚が思いのほかスペースをとるようで、苦労しているとも言っていました。

小田:このままだとあっという間に4月がやってきてしまいそうですね。来年度の行事やGIGAスクール関係も、スピード感ある検討が求められるように思います。
 こうした状況下で、正直、不安も多いと思います。今、一番欲しい情報は何でしょうか。

S先生:うーん、やはりコロナ禍における実践例でしょうか。今年の研修会で大学の先生をお招きしたのですが、その時に私以外の教員からも質問が多かったのはコロナ対策を踏まえた授業実践でした。ただ、大学の先生も、コロナ対策の専門家ではないので、困惑されていたのを覚えています。

小田:特別支援学校に通うお子さんの場合は、慎重な配慮が求められるとも思います。

S先生:先日、勤務校では学園祭があったのですが、マスクを着用している学年とマウスシールドを着用している学年があり、それは学年の実態に応じて対応を分けました。私の学年ではマスクを着用できない子もいたので、その子についてはなるべく端に位置するように工夫をしました。そうした、試行錯誤を繰り返しながら、子どもの安全、そして保護者の方にも安心いただけるような配慮が求められているように思います。

全国の先生方へのメッセージ

小田:最後に全国の先生方へメッセージをお願いします。

S先生:今、素直に感じているのは、どの学校の先生もものすごく一生懸命だということです。私は子どももいるので、自分の勤務校だけでなく、子どもの小学校での授業参観や行事での対応なども含めて広く考えると、同じ市内の学校でも本当にそれぞれに異なる対応をしていると感じています。これらの学校ごとの対応の差異について、ママ友の話しでは、少しネガティブな捉えられ方をしているようにも感じたことがありますが、個人的には、それぞれの学校が真剣に協議した結果なので、先生方は胸を張ってもいいのではないかな、と思いました。
 また、私の大学時代の仲間は一般企業に就職した人も多く、こうした状況になり、これから先どのように教員を続けていくか、個人的に考えさせられました。学校現場の特性としては、行事や授業内容も、ほとんど毎年同じことを繰り返すことが言えると思うのですが、今回のコロナでは、学校が変わることが強く求められているとも感じました。例えば一般企業の営業職であれば、売り上げをあげるために日々創造性を働かせて、変わり続けることが求められていると思うのですが、私たち学校の先生は、心のどこかで毎年同じことをしていけばよいという安心感を持っているのかもしれないと思っています。もちろん、毎年子どもが変わるのに加えて教科内容まで頻繁に変わっていくと、それこそ対応できないのですが、今、教師自身も変わることが求められていると思うので、みんなで知恵を出し合ったりして、この状況をなんとか乗り切っていければと感じています。

小田:今年、学校はたくさんの勇気ある判断をしなければいけなかったにもかかわらず、何かあれば不満の声が届き、基本的には誰も褒めてくれないので、自分たちの判断に自信をもつという発想は、個人的にも重要だと思いました。S先生のおっしゃる通り、最善の一手と思われるものを選ばれたならば、胸を張ってほしいと心から思います。
 S先生、本日はありがとうございました。

話し手

S先生 … 中部地方の特別支援学校でお勤めの中堅先生。

聞き手/ライター

小田直弥 … NPO法人東京学芸大こども未来研究所専門研究員。

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